上の入れ歯が外れやすい原因と解決法 ~患者さん目線でわかりやすく解説~
2024.12.02
カテゴリー: 院長日記
鹿児島市谷山中央5丁目の谷山ファミリー歯科クリニックの院長の永田です。
今回は「総入れ歯を使用しているけれど、上の入れ歯が外れやすくて困っている」というお悩みについて原因と解決法について考えてみたいと思います。
これは、実は多くの方が抱えている問題です。この記事では、なぜ上の入れ歯が外れやすいのか、どうすれば安定して使えるようになるのかを、
できる限りわかりやすく解説していきます。
Table of Contents
Toggle入れ歯が外れやすい主な原因は「前歯で咬むこと」
まず最初にお伝えしたいのは、上の入れ歯が外れやすい一番の原因として多いのが「前歯で咬む」という動作です。
「え?前歯で咬むと外れるの?」と驚かれる方も多いかもしれません。でも、これにはきちんとした理由があります。
1. 入れ歯は全体で咬む仕組み
総入れ歯は、実際の歯と違い、歯ぐき全体に広がる土台(床と呼ばれる部分)で支えられています。この土台が歯ぐきに吸着することで、安定して使えるのです。しかし、前歯で咬む動作は、入れ歯全体のバランスを崩す原因になります。
特に、硬いものを前歯で咬むと、入れ歯が手前方向に押されてしまい、吸着が弱くなって外れてしまうことがあるのです。
2. 前歯での咬み方は力が集中しやすい
前歯で食べ物を咬み切る動作は、奥歯で咬む場合と比べて、一点に力が集中しやすい特徴があります。この力の集中が、入れ歯を外れやすくするもう一つの原因です。
「前歯で咬む」以外にもある外れやすい要因
もちろん、上の入れ歯が外れやすい原因は「前歯で咬む」だけではありません。他にも考えられる要因があります。
1. 入れ歯のフィット感の問題
入れ歯が歯ぐきにきちんとフィットしていない場合、吸着力が弱くなります。これには、加齢や体重の変化によって歯ぐきの形が変わることも影響します。
歯ぐきがやせてしまい、入れ歯と歯ぐきの間にすき間ができることもありますので定期的な調整が必要です。
2. 唾液量の減少
入れ歯の吸着には、実は唾液が重要な役割を果たしています。唾液が少なくなると、吸着力が弱まり、入れ歯が外れやすくなることがあります。
3. 噛み合わせの不具合
入れ歯の噛み合わせが適切でない場合、咬む力が均等に分散されず、一部に負担がかかることで外れやすくなることがあります。
上の入れ歯が外れにくくなるためのポイント
では、上の入れ歯をもっと安定させるためにはどうすればいいのでしょうか?いくつかの具体的な対策をご紹介します。
1. 「前歯で咬む」癖を治す
前歯で咬むのを避け、奥歯を使って咬むように意識しましょう。例えば、硬いものを食べるときは、食べ物を奥歯に持っていくよう工夫してみてください。
これだけで、入れ歯の外れやすさが大きく改善することがあります。
2. 定期的な調整を受ける
入れ歯は使い続けるうちに、どうしても歯ぐきに合わなくなることがあります。
定期的に歯科医院で調整を受けることで、フィット感を保ちましょう。
3. 唾液を増やす工夫
唾液が少ないと感じる場合は、水分を多めに摂ったり、ガムを噛むなどして唾液分泌を促しましょう。唾液腺マッサージをして唾液分泌を促すことも効果的です。
4. 安定剤の使用を検討する
入れ歯安定剤を使うことで、一時的に安定感を高めることができます。入れ歯安定剤の使用は否定しませんが、あくまでも補助的なものだと考えています。
実際にどんな食べ方が良いのか
食べ方を工夫するだけで、入れ歯の外れやすさは大きく改善することがあります。以下のポイントが参考になれば幸いです。
- 食べ物を小さく切る
硬いものや大きいものを食べるときは、小さく切って食べやすいようにしてみてください。このことにより、咬むときの負担が軽減されます。 - 両側の奥歯で均等に咬む
一方の奥歯だけで咬むのではなく、左右の奥歯を使って均等に咬むことで、入れ歯のバランスが安定します。 - 食事中はゆっくり咬む
急いで咬むと力が強くなりがちです。ゆっくりと咬みしめることで、入れ歯が外れるリスクを減らせます。
まとめ:上の入れ歯はちょっとした工夫で安定します
上の入れ歯が外れやすい原因として、「前歯で咬むこと」が大きく影響することがお分かりいただけたでしょうか?
奥歯で咬む癖をつけたり、入れ歯の調整をこまめに行ったりすることで、入れ歯の安定感は格段に向上することがあります。
また、困ったときはお一人で悩まずに、ぜひ歯科医院で相談してください。適切なアドバイスや調整を受けることで、
快適な入れ歯ライフが実現します。