8050問題ってな~に?
2023.05.21
カテゴリー: 院長日記
鹿児島市谷山中央にある谷山ファミリー歯科クリニックの歯科医師、永田紳吾です。
みなさま、8020(はちまるにいまる)運動は聞いたことがあると思います。
1989年(平成元年)から厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。20本以上自分の歯があれば、なんでも咬むことができ、食生活にほぼ満足することができると言われています。そのため、「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いを込めてこの運動が始まりました。
今では、8020って言ったら誰もが、「80歳で20本以上の歯を保つこと」と認識していると思われます。
8020達成率は、運動開始当初は7%程度(平均残存歯数4~5本)でしたが、厚生労働省の調査(平成17年、歯科疾患実態調査)では、80歳~84歳の8020達成率は21.1%で、
その後の調査(平成28年、歯科疾患実態調査)では、達成率が51.2%となりました。
さて、8050問題とはどんな問題なのでしょうか?
これは、「高齢化社会において50歳代の働き盛りの子どもが、80歳代の親の面倒をみること」と思っていましたが、間違いでした。「80歳」代の親が「50歳」代の子どもの生活を支えるという問題でした。この背景にあるのは子どもの「ひきこもり」の問題です。ひきこもりという言葉が社会にではじめるようになった1980年代~90年代は若者の問題とされていましたが、それから約30年が経ち、当時の10~20 代の若者が40~50代、その親が70代~80代となり、長期高齢化する。そうした親子が社会的に孤立し、生活が立ち行かなくなる深刻なケースが目立ってきているようです。
厚生労働省によると、2040 年頃までは高齢化が進展し、生涯未婚率も上昇が続くと予測されています。従来から指摘されてきた「ひきこもり」の長期化、高年齢化だけでなく、日本社会の人口構造や世帯構造の変化が「8050 問題」をもたらしていると考えられます。
私たち歯科医療従事者として何ができるか?また、歯科医師としてではなく、一人の地域の住民として、2児の親として何ができるかを考えていきたいです。
私たちができることと言えば、地域でみんなで支えあえる環境づくりだと思います。
小学校の交通指導に参加し、登校する児童や通勤中の方々に元気に気持ちよく挨拶をする、
小学校の学校行事に参加する、町内会の廃品活動に協力する、こんな小さな行動をみんなでできるようになると社会は少しずつ変わっていくような気がします。