透析を受けられている方の抜歯における注意点
2019.01.20
カテゴリー: 院長日記
鹿児島市谷山中央にある谷山ファミリー歯科クリニックの永田です。
今回のテーマは、「透析を受けておられる方への歯科治療について」にしてみたいと思います。
透析を受けておられる方は、年間約1万人づつ増加していると言われており、透析を導入された
方の原疾患の第一位は糖尿病性腎症とのことです。糖尿病に罹患している方も増加しているので、
今後ますます透析が必要になる方も増えていくことだと思われます。
透析を受けておられる方の歯科治療について考えてみます。
まず、透析を受けている方は、糖尿病などの基礎疾患があり、感染を起こしやすい状態です。
抜歯など観血的な処置を行うと、口腔内の常在菌が一時的に血液中に入り、心内膜や腎臓、関節などに特異的に感染を起こすことが知られています。このため、予防的抗菌薬投与は必ずしも必須とされてはいませんが、透析を受けられている患者様の抜歯に際しては、免疫力低下が存在するため、投与したほうがよいと考えております。
通常は、ペニシリン系もしくは、セフェム系といった抗生物質を経口で2~3日間、通常より減量して処方いたします。ペニシリン系やセフェム系にアレルギーのある方には、マクロライド系のものを処方いたします。
また、透析にはへパリンという坑凝固剤を使用しているため、透析当日の抜歯は避け翌日に行うことが重要です。
透析当日だと、透析時に使用しているへパリンの効果が残っているため、止血しにくくなるからです。
(このヘパリンの効果は透析の翌日にはほぼなくなっています。)
抜歯に限らず観血的な処置は、透析の翌日が無難です。これは、患者様からきちんと透析日を聞いておけばよいので、特に問題ないのですが、やはり事前に透析をしている医療機関には、抜歯日だけでなく、予定している投薬内容、難易度など抜歯の情報は伝えておく、あるいは患者様に治療内容をお伝えし、主治医の先生に問題ないか聞いて頂くことが大切だと思われます。
やはり、他科の医療機関と連携していくことが一番患者様のためになります。