高齢者のむし歯~歯周病や唾液分泌量の低下が要因~
2018.09.07
カテゴリー: 院長日記
谷山ファミリー歯科クリニックの歯科医師の永田です。
今回は、高齢者のむし歯について考えてみます。
むし歯は子供に多い病気だと思われがちですが、そうでもないのです。
80歳で20本の歯を残そうという「8020運動」の成果もあり、80歳で20本以上の歯が
残っている方が過半数を超えています。
でも、油断は禁物です。昔は入れ歯が当たり前だった高齢者に多くの歯が残っているということは、
結果としてむし歯のリスクも高まっているのです。
歯周病。誤ったブラッシンッグなどの影響で歯ぐきに覆われていた歯の根(歯根)が年齢とともに
露出してきます(歯肉退縮)。歯の頭の部分である歯冠は表面が硬いエナメル質という抵抗力のある
層で覆われていますが、歯根はエナメル質ではなくセメント質で覆われています。このセメント質は
エナメル質よりも弱く、むし歯になりやすいのです。長年の咀嚼によりエナメル質がすり減り、
むし歯になることもあります。
また、むし歯を防ぐ”唾液”の量が少なくなることも要因です。
しかし、加齢や服用しているお薬の影響、糖尿病などで、唾液量が減ることがあり、歯が唾液で守られなく
なるなります。そうすると詰め物、かぶせ物やブリッジになった歯のつなぎ目などからむし歯になりやすく
なります。
認知症などでも自分で歯みがきができなくなる場合もあり、これが引き金でむし歯が多発することも
多発することもあります。
その結果、大人になってできにくくなっていたむし歯が高齢者で再び増えてくるのです。
放置すれば、細菌の温床となり、誤嚥性肺炎の原因にもなります。
また、せっかく歯を残してきたのにむし歯になり、食事がとりにくくなることもあります。
さらにひどくなれば、抜歯など外科的な処置が必要になり、体調によっては難しい場合もあります。
高齢で歯が多く残っている方こそ、日ごろの歯科医院での管理、予防処置が必要となります。