喫煙と歯周病~その3~
2018.08.17
カテゴリー: 院長日記
谷山ファミリー歯科クリニックの歯科医師の永田です。
喫煙と歯周病について今回もまた、考えていきます。
そもそも歯周病とは、歯ぐき(歯肉)が腫れて出血し、膿が出て、やがて歯がぐらぐらしてきて、
自然に抜けてしまう病気として知られています。
この原因は、歯にたまってくるプラーク(歯垢)です。プラークは、白、または黄色っぽくて
柔らかい状態で歯に付着しており、う蝕(むし歯)の原因でもあります。
プラークの中には、歯周病やう蝕の原因である細菌などの微生物が巣を作り、時間がたつに
つれて微生物の数も増え、歯のまわりの歯肉や歯を支えている骨(歯槽骨)を破壊していきます。
これらのプラークは空気のほとんどない歯周ポケットを好み、歯周ポケットの中でプラークがたまると
歯肉が炎症を起こして腫れてきます。そして、この状態が長く続くと、時間とともにどんどん溝が
深くなって、歯を支えている歯槽骨を溶かし、より広範囲の炎症を引き起こし、歯のまわりの歯周組織
が破壊されるのです。
なぜ喫煙者では、歯周疾患が重度になる傾向があるのでしょうか?
歯周病が喫煙者でより速やかに進行してしまう原因としては、次の2つのことが考えられます。
一つ目は、私たちの歯のまわりの組織に対する、外からの敵の攻撃力が強くなること。
二つ目は、私たちの防御力が弱まること。 です。
この場合の”敵”とは、プラークです。
歯周病がより重症になることと関係が深いのは、歯周組織への攻撃を仕掛ける側ではなく、
それに抵抗し、その攻撃を阻止しようとする私たちの歯のまわりの組織である歯周組織の
抵抗力が弱くなることと関係があります。
(これまでの臨床研究から、喫煙者の歯周疾患ではプラークの歯に付着している量は、
ほとんど非喫煙者と変わらないか、むしろ少なめであることがわかっています。
喫煙がよりたくさんのプラークの形成や
付着を促し、さらに攻撃力を高めているわけではないようです。)
次回は、喫煙が体の防御能力を低下させることについて考えてみたいと思います。