顎関節ってどうなっているの?
2018.03.25
カテゴリー: 院長日記
今回は、顎の骨(頭蓋骨と顎関節)について考えてみたいと思います。
頭や顎の骨ってどうなっているかご存じですか?ドラマや映画で、頭の部分が白骨化した状態ででてくることが
ありますが、その骨の形や歯の状態は、死者の身元を確認する上で非常に重要な参考資料となります。
頭の骨を取り上げ、ものをかむ仕組みを解説していきます。
上あごの骨と下あごの骨は、くっついていない?
頭の骨は、頭蓋骨といいます。この骨は、大きく2つに分けられます。
下顎骨(下あごの部分)とその上の部分です。上の部分でとくに歯がならんでいる骨の部分を、
上顎骨とよびます。下顎と上顎は骨どうしはつながっていないので、下顎骨と上顎骨の間にあるやわらかい組織を
取り去ると、2つを簡単に分離することができるのです。
実はこの上顎骨と下顎骨をつないでいる仕組みが、私たちが食べ物をかんだり、しゃべったり、笑ったり、歌ったり
する上で重要となります。
顎関節
上顎骨と下顎骨の接している部分には、口を開け閉めするときに使われる、上顎にはくぼみ、下顎には突起の構造が
あります。この2つが、すり鉢とすりこぎの関係のようにかみ合いながら動いて、下顎をスムーズに動かしていきます。
この部分を顎関節と呼びます。顎関節は、骨どうしですり合っているのではなく、手や足の関節と同じように
やわらかい骨(軟骨)が間に挟まって、動きをスムーズにしています。
また、上顎骨と下顎骨の間には、上顎に下顎をつり下げ、自由自在に動かすために使われる、咀嚼筋と呼ばれる筋肉
があります。これは4つの部分に分けられますが、それぞれが、上顎と下顎とをつないで、いろいろな方向に下顎を動かす
役割を担っています。
私たちが大きな口を開けて肉をかみ切ったり、豆などを細かくかみ砕いてすりつぶしたりする動きをうまく使い分け、
下顎を動かすことができるのも、この咀嚼筋と顎関節とが調和をとりながら機能を発揮しているからなのです。
つまり、私たちがものをかむ際には、動かさないでいる上顎に顎関節を支点として下顎を筋肉によって動かして接触
させているのです。そして、口の開閉時にものをかみ砕く上で便利な形や機能を備え、顎の骨に埋まっているものが”歯”
なのです。
食べ物の好みとあごの骨
肉食動物は、ものをかみ切りやすいように、開閉運動に有利な顎と、鋭い歯を持っているのに対し、草食動物は、
すりつぶし運動に有利な顎と、咬む面の広い歯を持っています。長い年月の間に食習慣に合わせて、頭や歯の形は決められて
いるのです。私たちは、肉や、穀物、野菜のどれも咬みやすいような、歯と顎を持っています。そして、ものを咬む刺激は
脳に伝えられ、脳の発達にも関係することも分かっています。