上あごに痰がこびりついているときの対応について
2013.02.11
寝たきり、あるいは人工呼吸器装着患者の方は、上あごに痰がこびりつきがちです。
舌の運動障害による清掃不良や嚥下障害、経管栄養による唾液の停滞に口腔の乾燥が加わり、
不潔になって痰がこびりついてしまいます。
このような痰を除去するには、まず水分を与え、潤すこと(湿潤)です。
もっとも効果的な方法はうがいですが、寝たきりの方や、人工呼吸器をつけている方はうがいができません。
そこで、以下のような手順で口腔ケアを行います。
1 脱感作・・・刺激に対する感覚・運動系の異常反応である過敏反応を取り除くことを「脱感作」といいます。
意識がはっきりしていなくても、口腔周囲には過敏反応が残っている場合が多いものです。
いきなり口腔内に指を入れず、口のまわりの皮膚など、周囲から触れるようにします。
2 マッサージ・・・唾液分泌を促すため、頬をマッサージして耳下腺を刺激します。
その後、口内に指を入れて歯肉マッサージも行います。
3 口腔内湿潤・・・まず、唇にワセリンを塗って潤した後、スポンジブラシに水をつけて、
痰がこびりついている口蓋を湿潤させます。
水ではなく、保湿成分を含むマウスウォッシュや、グリセリンを使ってもよいでしょう。
4 除去および洗浄・・・その後、歯ブラシやスポンジブラシでそっとこすって痰を取り除きます。
粘膜がはがれて出血しないように、力加減をしてください。
ある程度除去したら水で洗浄して吸引し、除去と洗浄を交互に行います。人工呼吸器装着患者の場合は、
看護師や歯科衛生士が行うことが望ましいです。
5 保湿・・・終了後、口腔内保湿剤(オーラルバランスなど)を使って保湿します。